1. 三つのルール 2. 野外彫刻、三つの活用法 3. 三つの「ウェア」 4. 文化を育む三つの「C」 5. 三つの期待 6. 三つの懸念 7. 三人の地域リーダー 8. 優れた企業、三つの条件 10. 三種の神器と三上の訓 11. 三人のトラバーユ 12. 深夜の国際電話 13. 選択的市民のすすめ 14. 明快少年出現! 15. ふるさと人材育成事業報告 16. 魅力あるまちづくりとは? 17. アメリカの常識、日本の非常識 18. 女性のバス運転手 19. たかがチップ されどチップ 20. ボーダレス時代の新市長に望むこと |
建築学の拠点1997年度から県立岩国工業高校に都市工学科を新設する、との報道があった。この記事を見て、何年か前、視察で久留米市に行った時のことを思い出した。目的の施設見学が終えて外に出ると、周り一帯は広大な工業団地であった。そこで私は、自分が見学した先端的な施設が造成中の新興工業団地の真っただ中に建てられていたことに驚いた。 こう書いても、何故かは、ご理解いただけないことと思うが、建物の外観デザインと周囲の団地景観とのミスマッチが余りにもひどかったからである。施設そのものは当時の先端的なコンピュータを駆使した教育施設である。しかし、建物というものは、周囲から孤立するのではなく、周囲の立地環境、条件に十分な配慮がされて作られるべきではなかろうか。さらに、その地域の歴史や将来の計画等にも意を払うべきであろう。 この団地は緑豊かな環境に恵まれたものになるのか、それとも、これまでの団地と違わない3K職場の典型のようなものになってしまうのか。大都市のビルが林立する中にあるような、外観がシルバーの金属で固められた巨大なロボットのようなイメージを抱かせるこの建物の設計者は、どのような考えで設計されたのであろうか、と考え込んでしまったのである。 都市工学科を新設するとの記事内容に、私はとても好感を抱いた。これまでの土木建築に加え、都市計画や環境工学まで学べるもので、文化財と町の共生を探るのも狙いらしい。県内では屈指の歴史と伝統を持つ地域である岩国には、日本三大奇橋の一つの錦帯橋を始めとして多くの好題材があろうから、これらを材料として、建築物の歴史的変遷や構造なども学んでいくことができよう。 将来の技術者、指導者を育成していく観点からも、大変に良いことであろう。地元の土木業界や商工会議所、市議会などから土木建築科新設の要望が多いらしく、この時代の流れに沿った適切な方向だと歓迎したい。 ところで、我が宇部地域には今年、山口大学工学部に感性デザイン工学科が設置されたが、これまで建築系のコースは無かったようだ。それまで“まちづくり”に関する会合で、建築学科が必要、との意見が度々出ていた。建築系の学科があれば、建築を教える指導教官(先生)が必要となる。新たな人材が集まれば、そこに具体的な活動が生まれる。建築を取り巻く環境が見えて来て、問題も浮かび上がってくる。 宇部の“まちづくり”にとって、そのような「学問の拠点」が果たす役割は大変に大きいのではないか、と期待している。 1996/10/22 |
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