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アメリカの常識、日本の非常識

「積載制限により、東京経由の四時間遅れの便への変更を募ります。希望者には、二万円の現金払戻し叉は当航空の四万円相当の航空券の贈呈をいたします。」
サンフランシスコ空港からのフライトのために待機している時、突然こんなアナウンスが耳に飛び込んできました。私は、友人と二人で顔を見合わせました。せっかく順調に消化してきた旅行の土壇場に来て、まさか搭乗不能とか、、、、との不安がよぎったのです。要するに、オーバー・ブッキング(過剰予約)です。早速確認に行った友人が戻った来て言うには「大丈夫ですって。」その言のとおり、変更者が出て、間も無く機内乗り込みが始まりました。
思えば、往路でも私の席がダブル・ブッキング(二重予約)になっていました。その時は「こんなこともあるものだなあ」と思っていましたが、復路でもマタ、となれば、この会社、いやアメリカの航空会社ではこんなことは日常茶飯事なのでは、と疑りました。
なぜなら、日本人の常識では考えられないコトがその後でも起きたのですから。
機内での出来事です。予定の時間が来ても離陸しません。それもその筈、機内の横の席を見れば、機械作業員が天井から精密機器を引っ張りだしてドライバーで一生懸命に調整中なのです。彼の作業員もイライラしているらしく、何やら大声を出してはガチャガチャやっていましたが、見ている我々も余りいい気持ちはしません。『金属疲労』でもあったりしたら大変ですからネ。
幸い(?)なことに、我らがジャンボは予定時間を30分程度遅れて離陸しました。
最後の極め付きは、映画上映の際に出くわしました。帰心矢のごとし、の心境の私達にとって、2〜3時間をユッタリと過ごせる映画は大歓迎。加えて、トム・クルーズとデミー・ムーア共演、ジャック・ニコルソン助演の『ア・フュー・グッドメン』が上映されることを知り、喜びましたね。日本ではチャンスを逸した観たい映画でしたから。それに幸いなことに、日本語の吹き替え付きですから、なおさらのことでした。
ところが、開始後20分経っても一向に日本語が聞こえてきません。
私のイヤホーンの操作ミスかな?とも思ってチャンネルを変えてみますが、他には該当の番組が無いのです。頼りは拙いの英語力と持ち前の洞察力でした。
さて、30分過ぎた頃に聞こえてきたのは「申し訳ない。当方のミスで日本語吹き替え版を積んでいない。」
ここまで徹底してくると、唯々感心するばかりです。
でも、考えてみれば、どれも生死に関わるほど重大なことではなく、慣れればそんなにたいした問題ではないのです。アメリカの常識、日本の非常識ですよ。
でも、あなた、こんな機内サービスをたて続けに体験したら、我慢できますか?
                                     1993/06/21

 

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