1. 三つのルール 2. 野外彫刻、三つの活用法 3. 三つの「ウェア」 4. 文化を育む三つの「C」 5. 三つの期待 6. 三つの懸念 7. 三人の地域リーダー 8. 優れた企業、三つの条件 10. 三種の神器と三上の訓 11. 三人のトラバーユ 12. 深夜の国際電話 13. 選択的市民のすすめ 14. 明快少年出現! 15. ふるさと人材育成事業報告 16. 魅力あるまちづくりとは? 17. アメリカの常識、日本の非常識 18. 女性のバス運転手 19. たかがチップ されどチップ 20. ボーダレス時代の新市長に望むこと |
三つの「ウェア」ふるさと創生ブーム以来、地域における特色ある施設づくりが盛んである。特に、最近では住民の希望や意向を汲んで、一地方公共団体ごとに美術館、図書館などの大規模な文化的施設や会議用、産業振興用の展示館、コンベンション・ホール等が建設されている。国民の生活水準や嗜好レベルの向上に伴う適切な事業だと思う。 しかし、「建物、施設は出来上がったけど、利用者はサッパリだ。閑古鳥が鳴いている。」という話を聞くこともある。何故だろうか。 私は、この問題を「三つのウェア」に分けて考えてみた。(カタカナばかりで恐縮であるが)まず、ハード・ウェア、次にソフト・ウェア、最後にヒューマン・ウェアである。「ハード・ウェア」とは、立派な建物、施設、設備、機器等を意味している。「ソフト・ウェア」とは、そのハード・ウェアを使いこなす仕掛け、仕組みを指し、「ヒューマン・ウェア」とは、ハードの中で、ソフトを使いこなす人の仕事ぶり、行動様式のことをいう。 いくら建物施設が立派でも、施設の利用規則や運営方法が24時間化する住民の生活様式や若い人々の感性と著しくかけ離れている場合には、期待外れの状況となってしまう。ましてや、文化的施設の場合には、開催する事業の企画次第で入場者の数が激変してしまうのである。運営するソフト・ウェアの差がハード・ウェアの価値まで決定してしまう。このような現象は、体育館、図書館、病院、コミュニティ・センターなど地域における生活基盤が充分に整備されていなかった時代には考えられなかったことである。まさに、時代の変化、社会経済の変化に伴う現象である。 今の時代は、ただ単に「ハコモノ」を作ればいいのではなく、ハードの整備と同時にその建物施設の企画・運営がしっかりしていなければならない。ソフト・ウェアがよくない施設づくりは「無駄な投資」ということなのかもしれない。これから完成する渡辺翁記念館や多くの市民が希望している美術館、地場産業の振興施設などはこのような視点で作られるべきであろう。 さて、ではこれからの地域社会はどうだろうか?少ない若者が重視され、女性の社会進出が顕著になり、高齢化が進行する社会はどうなのだろうか? 私は、今後は優れたソフト・ウェアに加え、利用者、対象者の立場に立った「思いやり=ヒューマン・ウェア」が必要であると思う。文字通り、「子供に優しい」「若者向け」「お年寄りに優しい」「女性向け」といった心づかいが必要になる。各種の計画策定や施設整備に「ヒューマン・ウェア」の導入が不可欠となるだろう。 ちょっと気を利かせれば、私達のまちはもっと住みやすい、潤いのある地域社会になるのではないか。 1993/02/10 |
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