1. 三つのルール 2. 野外彫刻、三つの活用法 3. 三つの「ウェア」 4. 文化を育む三つの「C」 5. 三つの期待 6. 三つの懸念 7. 三人の地域リーダー 8. 優れた企業、三つの条件 10. 三種の神器と三上の訓 11. 三人のトラバーユ 12. 深夜の国際電話 13. 選択的市民のすすめ 14. 明快少年出現! 15. ふるさと人材育成事業報告 16. 魅力あるまちづくりとは? 17. アメリカの常識、日本の非常識 18. 女性のバス運転手 19. たかがチップ されどチップ 20. ボーダレス時代の新市長に望むこと |
ニューファクトリー、三つの効果先月、新聞に掲載された社長の寄稿を読んで、静岡県の天龍川上流まで工場見学に行った。事前にお願いした時間に工場を訪れると、前の組の方々がまだ工場見学途中であったにもかかわらず、社員の方が快く応接室に招き入れてくれた。奇麗な建物で働いている社員の応接ぶりには、何となくこの会社に勤務することに対する誇りが感じられた。 訪問したのは、「神戸コロッケ」で一大飛躍をとげたお総菜屋さんの新工場(ニューファクトリー)。そこで一番驚いたのは、その外観であった。一見、研究所かと見違える程の奇麗な建物であった。それもそのはず、今を時めく安藤忠雄氏の設計によるものである。入り口から事務室まで50メートルを超える通路の長さやガラスを用いた壁、天井の明るさ、開放感溢れる事務室と余裕あるオフィス空間、緩やかな階段の広さ、十分な採光を確保する全面ガラス壁の多さ、外部空調機器類などを覆う目隠し壁などなど、全てこれまでの「工場」の概念を打破する新しい試みばかりであった。これらはいづれも設計された安藤氏の強い指示によるもので、「このため建築費が当初予定の2倍になった」とご案内役の工場長が苦笑しながら説明してくださった。 しかし大金を投じて奇麗なニューファクトリーを作るばかりでは、経営者として能がないと言われかねないだろう。そのあたりを「ニューファクトリー建設で、どんな効果がありましたか?」と意地悪く尋ねてみた。これには、三点の効果が現われたとの返事があった。 彼の言によれば、新工場を建設したのは1年前であったが、神戸の旧工場と比較して、 まず、入れ替わりの激しかったパートタイマーを初めとして、従業員が一様に長く勤務をするようになったこと。つまり、従業員の定着率が高まったのある。 次に、例年なら殆ど応募の少ない高学歴の新卒者が、それも若い人が敬遠しがちな生産現場勤務を希望してきたこと。中小企業が必要とする優秀な人材確保につながるものであろう。三点目には、社員がこの会社で働くことに対して誇りを抱き始めたとのこと。そうだろう、快適な作業環境の美しい工場で働ければ、十分な満足が得られるはずである。後は人並みの給料さえいただければ、、、、、。 我がまち宇部にも工場は多い。そこで働いている人達は、快適な環境で作業しているだろうか、自分の勤めている会社に対して誇りを持っているだろうか。従業員のそんな気持ちに配慮しながら、素敵なニューファクトリーづくりを手掛ける経営者の方が宇部のまちにもいないだろうか。 そんなことを考えながら、宇部への帰途についた。 3K職場の典型と言われている中小製造業の生産現場・工場の内部の環境を整備して、そこで働く人々の就業環境を向上させて「脱3K」を図る。 次に、地域社会の中では色彩や形などデザイン面にも配慮をして工場の外部環境を整備し、地域景観との調和を図って、「まちづくり」にも間接的に協力していく。 一方、企業の持つ施設設備を社会的資本として位置づけ、これらを地域社会に開放することにより、地域社会との融合を進めていく。 以上の三点を狙いとしている工場を「ニューファクトリー」と呼んで通商産業省がこのような新しい形の工場づくりを提唱し始めたのが2年前である。山口県もアドバイス制度と金融制度を盛り込んで本年度から新規事業として取り組み始めた。 1993/04/21 |
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