1. 三つのルール 2. 野外彫刻、三つの活用法 3. 三つの「ウェア」 4. 文化を育む三つの「C」 5. 三つの期待 6. 三つの懸念 7. 三人の地域リーダー 8. 優れた企業、三つの条件 10. 三種の神器と三上の訓 11. 三人のトラバーユ 12. 深夜の国際電話 13. 選択的市民のすすめ 14. 明快少年出現! 15. ふるさと人材育成事業報告 16. 魅力あるまちづくりとは? 17. アメリカの常識、日本の非常識 18. 女性のバス運転手 19. たかがチップ されどチップ 20. ボーダレス時代の新市長に望むこと |
カナダ・アメリカ-3「服装」私達の小さい頃は周囲から「季節はずれの服装をしないように」とか「恥ずかしいから、人と変わった服装をしないように」と言われたものである。気候の差がさほどない狭い日本列島。そんなに違う服装があるはずがない。みんなと違った服装をしていたら、変わった目でみられて、何かとうるさい指摘をうける。 そのうち、自分自身も他人と“違うこと”は何か罪悪だとも勘違いして、周囲をいつも気にすることに慣れてしまう。 このようにしていつの間にか“横並び意識”が自然に身に付いて、自分の周囲にいる後輩や子供にも同じ言葉を用いて、結果的には横並びを強いることとなる。 バンクーバーのレストランで昼食をとりながら外を観ていたら、そんなことを考えさせられる光景に出くわした。 祝日の昼過ぎ、次第に増えてきた街中を歩く人は、ティーシャツからオーバーコートまで、多種多様な服装をしているのである。確かにその日の気候は日本で言えば4月中旬といったところで、少し肌寒い天気だった。しかしティーシャツの薄着からオーバーコートの厚着までの幅広い服装が必要とも思えない。まるで季節感の違う服装をしているのである。 要するに、彼等は他人がどんな服装をしようがお構いなしで、自分の思うままに選択している風である。「なるほど。一人一人が実に自然なんだなあ。」と感心してしまった。 単に街中の服装だけで判断できるものではないが、少し大袈裟に言えば、街を歩いている彼等の思い思いの服装は何か民族の違い、考え方の相違を象徴しているように私には思えた。 そんなふうに注意して見ていると、バンクーバーからの機内やサンフランシスコの街中でも、夏服から冬服までバラエティーに富んでいる。 気候の変化が早くて激しいという特徴もある。また、西海岸から東海岸までという日本のスケールでは推し量れない国土の大きさもその理由だろう。広い大陸を往来する人達にとって、変化の激しい天候に臨機応変に適応できる自分のスタイルが結果的には個性ある服装になっているのだろう。 しかし、日本のような画一的な環境の中で生活している私には、他人や周囲を気にせず自由気ままな服装を楽しんでいる人々の姿は羨ましく、何やら眩しくもあった。 多分、人の成長にとって、個性や独創性を尊重する自由な雰囲気や環境は非常に大切なのだろう。特に、文化、芸術、スポーツ等の分野では個性を伸ばし、触発し合える環境が重要である。 今の日本では得られない何かがこの国々には存在しているように私には思えた。 1996/06/10 |
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