1. 三つのルール 2. 野外彫刻、三つの活用法 3. 三つの「ウェア」 4. 文化を育む三つの「C」 5. 三つの期待 6. 三つの懸念 7. 三人の地域リーダー 8. 優れた企業、三つの条件 10. 三種の神器と三上の訓 11. 三人のトラバーユ 12. 深夜の国際電話 13. 選択的市民のすすめ 14. 明快少年出現! 15. ふるさと人材育成事業報告 16. 魅力あるまちづくりとは? 17. アメリカの常識、日本の非常識 18. 女性のバス運転手 19. たかがチップ されどチップ 20. ボーダレス時代の新市長に望むこと |
現代芸術について最近、ある建物の中に置く絵画、レリーフ、彫刻などを選定するために、県内で創作活動をしている若手作家を歴訪しました。以下は、その感想です。お邪魔した各作家のアトリエの環境は多種多様でした。 新進作家ですから創作が十分な収入につながらないこともあって、十分なアトリエ(創作環境)を確保できている人は少数でした。住居の一部をアトリエにしている人が殆どで、独立したアトリエが確保できている人はごくわずかでした。唯一、彼等に共通していた点は静かな立地環境でした。 また、最も痛感したことは、日本、さらに地方にあって現代美術の創作活動を続けるには大変に厳しい現実の壁が存在している、ということでした。 その大きな原因は市場(マーケット)が余りにも小さいという現実でしょうか。さらには、我が国では現代美術の若手作家の創作活動を支援するシステムが非常に弱いという事実です。これは美術だけに限らず、最近「秋芳台芸術村」の建設計画で話題になっている現代音楽に関しても同様に言えることです。この間、現代芸術活動基盤の整備強化に様々な点で努力されている幾つかのグループや個人にお会いしましたが、一様に地方における活動条件の厳しさを切々と訴えられていたからです。 そして彼等の言のとおりに、山口県や宇部市は、現代芸術の創造活動環境に恵まれていないとすれば、現代芸術の創作活動に取り組む作家達は宇部市には定住できない、ということになります。 そして、作家が少なければ、県内の現代音楽・美術等の活動は低迷するこことなり、そこに住んでいる私達、そして子供達はそのような作品、演奏会に身近に接することができず、他の地域に出かけていかなければならなくなる訳です。 極論すれば、これが原因で宇部を離れる人もあるかもしれません。そうなればますます環境は悪化していくのではないでしょうか。 心の解放やリラクゼーション、感性の向上など、現代の複雑な社会、生活環境の中で生きている私達や子供達が、文化・芸術から浴する多大な恩恵には図りしれないものがある筈です。 ハードの建設には多大な関心を払ってきた私達ですが、今回、このような県内行脚をしてみて、ショッピングセンターやアミューズメント施設等のハード整備ばかりでなく、市民生活の質的な向上に見合った芸術文化のソフトの環境整備やシステムづくりにも積極的に力を入れることが必要と痛感した次第です。 1996/05/19 |
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