1. 三つのルール 2. 野外彫刻、三つの活用法 3. 三つの「ウェア」 4. 文化を育む三つの「C」 5. 三つの期待 6. 三つの懸念 7. 三人の地域リーダー 8. 優れた企業、三つの条件 10. 三種の神器と三上の訓 11. 三人のトラバーユ 12. 深夜の国際電話 13. 選択的市民のすすめ 14. 明快少年出現! 15. ふるさと人材育成事業報告 16. 魅力あるまちづくりとは? 17. アメリカの常識、日本の非常識 18. 女性のバス運転手 19. たかがチップ されどチップ 20. ボーダレス時代の新市長に望むこと |
おかげ横丁(先の「式年遷宮」を見ながら、ふと20年前の随筆を思い出しました。 2013年10月08日)昨年と同様に、正月開けの土、日曜日を費やして車で京都を往復した。今年は、雪路を走って洛北の片隅の大原三千院に行ってみた。 予想以上に通年の観光客は多いらしく、駐車場、土産物店、食事処、宿泊施設、タクシー、観光バス、はたまたパターゴルフ場までズラリと並んでいる。その数を見れば、年間の観光客数と消費需要の多さは容易に想像ができる。 そして、この需要から発生する経済波及効果や数十というお店で働いている何百人という大きな雇用力は地域にとって大変な“資源”であろう。 要するに、ここ大原町は千年の歴史と四季の自然を湛えた三千院という「地域に固有の資源」を中核にして、三千院の“おかげ”で栄えてきた町なのである。 ところで、伊勢神宮の前には、かの有名なお菓子「あかふく」を売っている店のある「おかげ横丁」がある。 一般的に、門前町、寺内町、鳥居前町などと宗教関係の施設等を中心に発達してきた町をこのように呼んでいるが、伊勢神宮の「おかげ横丁」はその典型で、文字どおり伊勢神宮へ全国から集まる参拝者の“おかげ”で栄えている町だ。 社会経済の変化とともに、時の活況を呈する町は中世の宗教関係都市から近世の政治・経済都市へ、そして昨今では観光・レジャー都市へと姿を変えているが、その地域に“固有の資源”がまちづくりの中核として活用されていることにはかわりはない。日本だけでなく、港町、宿場町、市場町、城下町は世界の何処でも見られる都市形成パターンである。 そして最近では、「企業城下町」という言葉も使われている。一昔であれば、北九州や釜石の「新日本製鉄」、福山の「日本鋼管」、岩国では「帝人」や「三井石油化学」、周南地域の「トウソー(旧:東洋曹達)」や「トクヤマ(同:徳山曹達)」、防府では「マツダ」などがその典型で、このような大企業を地域内に抱える都市は地域に多くの税収と雇用をもたらす「企業の城下町」として他の羨望の的でもあった。 さて、まちの発展がこれらの「中核的な資源」をいかに活用するかにかかっている点は今も普遍の真理とも言えよう。我が宇部市も「企業城下町」として栄えてきたが、昨今の景況のもと、「企業城下町」であるが故に、地域全体に活力が無くなってきている。 産業経済面からは、わが国の景気の回復と宇部興産の再活性化を願いつつ、重厚長大型の製造業ばかりでない新たな中核となる産業の育成・振興に取り組む一方で、大企業とは異なる「中核的な資源」、例えば常盤公園や彫刻を活用した観光・コンベンションの振興に取り組んでみる価値がありはしないだろうか。 1996/01/30 |
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