1. 三つのルール 2. 野外彫刻、三つの活用法 3. 三つの「ウェア」 4. 文化を育む三つの「C」 5. 三つの期待 6. 三つの懸念 7. 三人の地域リーダー 8. 優れた企業、三つの条件 10. 三種の神器と三上の訓 11. 三人のトラバーユ 12. 深夜の国際電話 13. 選択的市民のすすめ 14. 明快少年出現! 15. ふるさと人材育成事業報告 16. 魅力あるまちづくりとは? 17. アメリカの常識、日本の非常識 18. 女性のバス運転手 19. たかがチップ されどチップ 20. ボーダレス時代の新市長に望むこと |
海業まちの再生には、大別して二つのタイプがある。その地域にとって、まったく新しい異業種企業やプロジェクトを誘致して活力を付与する方法と、人材や資金を投じたり、新たな情報を参考にして、既存の資源をさらに磨きをかける方法である。先日視察した三浦市は、後者のタイプのまちづくりをしているようだ。 遠洋のマグロ漁をはじめ、沖合、沿岸漁業が盛んな漁業の町として名高い三浦市も最近は、魚資源の減少や漁業者従業者の高齢化、後継者不足など様々な悩みに直面している。が、今から3年前に開催された「サーフ90(国際アーバン・リゾート・フェスティバル1990)」という海の一大イベントを契機として、三浦の海には又別の角度から光があたり始めた。釣に始まり、ヨットやボードセーリング、ダイビングなどのマリンスポーツ、雄大な海洋の景観を楽しみ、シーフードに舌鼓を打つ観光客、グルメ客。余暇時間の増大に伴い、海は現代人の総合レジャーの舞台として脚光を浴び出したのだ。 三浦市では、21世紀には恐らくこのような傾向がますます強くなるだろうという予感のもと、「人と海の共生」を基調にして、漁業だけでなく、文化、教育、スポーツ、レジャーなど海を舞台にした事業の全てを包括する、新たな呼称として「海業(うみぎょう、と読む。)」を掲げた。 その中核となるプロジェクトは「フィッシャーマンズ・ワーフ構想」である。「フィッシャーマンズ・ワーフ」とは、「漁業者の波止場」とでも直訳されるが、漁を終えて帰港した人々がゆっくりとくつろぎ、憩える場。そんな素朴なイメージから発展して、最近では、商業、観光、文化、レジャー施設等を備え、高い集客力をもつ新しい港町づくりとして脚光を浴びているものである。その推進力の基本となっているのが“海業”というコンセプトであり、そのコンセプトのもと、三浦市は、漁港としての本来の特性を生かしながら、ウォーター・フロント部分を活用してリゾート性を高め、より魅力的な港町への脱皮を目指しているところである。“海”という自然資源に恵まれた地域が再度それを見つめ直し、磨きをかけているのである。 私がお話をうかがった久米市長は、「この“海業”という言葉を使わなかったら、私の政治生命は一期で終わっていたでしょう。何故ならば、私自身が魚の卸業者ですし、私の掲げた“海業”というスローガンは、実は水産業の衰退に拍車をかけると言われかねない考え方ですからね。」という言葉で1時間半もの長い話しを締めくくられた。私は氏の“まちづくりに対する確信に近い意気込み”に感服した。「海業」という呼び名の名付け親であり、その構想の推進力を果たして来たのが現在三期目の久米市長。三浦市の再生をかけて立候補した10年前に掲げたのがこのコンセプトであった。 なにか“海業”は“全国ブランドのまちづくり”と似ている。カッタ君の終わったいま「“全国ブランドのまちづくり”とは何か?」が再び問われている、と思う。 1995/10/17 |
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