1. 三つのルール 2. 野外彫刻、三つの活用法 3. 三つの「ウェア」 4. 文化を育む三つの「C」 5. 三つの期待 6. 三つの懸念 7. 三人の地域リーダー 8. 優れた企業、三つの条件 10. 三種の神器と三上の訓 11. 三人のトラバーユ 12. 深夜の国際電話 13. 選択的市民のすすめ 14. 明快少年出現! 15. ふるさと人材育成事業報告 16. 魅力あるまちづくりとは? 17. アメリカの常識、日本の非常識 18. 女性のバス運転手 19. たかがチップ されどチップ 20. ボーダレス時代の新市長に望むこと |
創造活動の場先日の日曜日、家内と二人で山口市で市民ミュージカルを鑑賞した。戦後50年を契機に創作されたこの市民ミュージカルから、戦争の悲惨さ、大衆のエゴ、アジアの人の日本人観など、私も幾つかの問題を考えさせられた。 このミュージカルは、本来下関地域を中心に活動している市民ミュージカルの公演を、95デザイン・ミィーティングの一環として、山口の市民会館大ホールで1日だけの公演を行ったものである。この市民ミュージカル団体は、昭和63年、「市民の手による子供のためのミュージカルを上演する会」が創立されたのをきっかけに、現在「下関市民ミュージカルの会」の名で下関を中心に活動をしている。脚本から音楽、振り付け、演出まで、すべて市民による手作りが特徴で、公演のたびに市民から参加者を募っているとのことである。8年間の活動と実績には高い評価が与えられており、昨年にはサントリー文化財団の第16回「サントリー地域文化賞」を受賞している。これは、県内では昭和62年の宇部市緑化運動推進委員会に次いで二度目である。 ミュージカルを観る機会は余り無いが、本格的なミュージカルとしては、十数年前にロンドンで「エビータ」を観たことがある。が、その時はロック・ミュージックに関心が強かったので、プロの音楽を通じて“本場のミュージカル・シーン”を楽しんだのだろうと思う。 それに比べて、「今回はアマチュア、それも地方の市民が片手間に取り組んでいるもので、学芸会のようなものだろう」という予想をしていた。が、あにはからんや、踊り(ダンス)や出演者の衣装等はともかく、脚本や演出がシッカリとしていて文字どおりドラマティックな盛り上がりもあり、大変に感動した。脚本の良さはもとより、美しさ、哀しさ、劇的な盛り上がり等を表現した音楽の素晴しさは「素人集団」の域を出ているとの評判が頷ける。自分の偏見を恥じた次第である。 宇部にも市民ミュージカルを、という声があるのを聞いている。私は、市民ミュージカルにこだわらず、宇部でも創作的な活動がもっと盛んになって欲しいと常々思っている一人である。観る目や感性を養い、そして、創る意欲や理解を醸成する創作活動の意義については改めて触れるまでもなかろうが、モノづくりで発展してきた宇部にとっては、特に将来ある子供たちの可能性を引き出し、若い人達のエネルギーを生かす場としても大変に重要に思える。子供たちが、本や資料等を通じて文化芸術的な活動に接するだけでなく、実際の上演や演奏に目のあたりに接することは必要であるし、さらに、手作りの創作活動をしている“親の背中を見て”子供たちが育っていくことも重要であろう。 宇部にも、音楽や演劇、そしてこのミュージカルなど様々な創作活動が展開されているが、今回、久しぶりにミュージカルを観て、私たちもこのような活動を支援しなければならない、と思った。 1995/10/03 |
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