1. 三つのルール 2. 野外彫刻、三つの活用法 3. 三つの「ウェア」 4. 文化を育む三つの「C」 5. 三つの期待 6. 三つの懸念 7. 三人の地域リーダー 8. 優れた企業、三つの条件 10. 三種の神器と三上の訓 11. 三人のトラバーユ 12. 深夜の国際電話 13. 選択的市民のすすめ 14. 明快少年出現! 15. ふるさと人材育成事業報告 16. 魅力あるまちづくりとは? 17. アメリカの常識、日本の非常識 18. 女性のバス運転手 19. たかがチップ されどチップ 20. ボーダレス時代の新市長に望むこと |
地元へのイメージアップ「宇部といえば、彫刻をはじめ、文化芸術にとても力を入れているまちですよね?」との発言に私は返す言葉に窮した。よその人からはいつも聞くが、この言葉は住んでいる人間を嬉しいような悲しいような複雑な気持ちにさせる言葉である。 来年、あるイベントを担当する予定があり、この時期に多少の勉強をしておきたかったので、通産省の知人に大規模イベントのプロデュース経験豊かな人を紹介して欲しいとお願いした。今後、複数の企業を相手に当方の意向を浸透させるという課題が私に与えられていたからである。 その結果、ある人の紹介で高橋さんという人に遭うことができた。彼は、『日本万国博覧会』から『国際花と緑の博覧会』に至る国際的な博覧会や『ならシルクロード博覧会』等の地方博覧会、そして『東京都江戸東京博物館』にはじまる各種の博物館、民族資料館、美術館等の文化施設を主に手がけた企業に属している。 おかげで、彼から豊かな経験に裏打ちされた的確な助言をいただいたので、この貴重な意見を念頭に置きながら、実施までの1年間、実務をこなしていきたいと思っている。やはり、手がけたことの無い分野には経験者の意見、アドバイスが必要だと痛感した。 さて、彼とは東京からの飛行機の中で、そして翌日の昼食を取りながら話しをしたが、元々、同年代ということもあって、二人の間では本来の話題ばかりでなく、幅広い意見交換になった。その中で、彼の宇部に対する高い評価はとても印象的で、そんな中から飛び出したのが冒頭の発言であった。「ナカナカ、そうでもないんですよ。」と微妙な口振りで、市民の評価が今一である、という例を先日の青年会議所のアンケート調査の例を挙げて説明した。すると即座に「なぜ、彫刻が市民に評価されていないのですか?」との質問が返ってきた。彫刻や市内在住の画家に関する具体的な発言があったので、「この人の彫刻に関する知識は生半可なものでは無いな。」と感じていたが、この質問には驚いた。 これまでのシンポジゥムや会議等での市民の意見を想い出しながら、一つには抽象彫刻作品が多いこと、もう一つは、必ずしも彫刻が市民の目に日常的に触れる場所には設置されていないこと、を理由に説明した。ついでに、私たち『トーク・ウベ21』が6年前に作成した提案書「彫刻スケールのまちづくり」を見せると、「これは素晴しい。早速、友人の粟津潔さんに見せましょう。」と言っていたが、市民サイドからこのような提案が出されなければならない現状には驚いた風であった。 仕事で出会った人から思いがけず宇部市のイメージに関する意見をいただいて、嬉しい2日間であった。しかし、いつものことながら、彫刻に関しては、宇部市内に住んでいる人と他地域の人の評価に大きなギャップのあることを又しても痛感した。 地域固有の資源、それも国内では最も高い評価を得ている彫刻に関するイメージアップが、まず地元の人達に必要だというのは、何とも情けない話しではあるまいか。 1995/09/25 |
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