1. 三つのルール 2. 野外彫刻、三つの活用法 3. 三つの「ウェア」 4. 文化を育む三つの「C」 5. 三つの期待 6. 三つの懸念 7. 三人の地域リーダー 8. 優れた企業、三つの条件 10. 三種の神器と三上の訓 11. 三人のトラバーユ 12. 深夜の国際電話 13. 選択的市民のすすめ 14. 明快少年出現! 15. ふるさと人材育成事業報告 16. 魅力あるまちづくりとは? 17. アメリカの常識、日本の非常識 18. 女性のバス運転手 19. たかがチップ されどチップ 20. ボーダレス時代の新市長に望むこと |
野放図な連携55年体制崩壊の象徴として成立した連立政権を「野合である」と批判した勢力が逆にその用語の不適切さを指摘されたことは記憶に新しい。確かに、「野人」「野心」「野合」「野望」「野次」「野放図」「野に放つ」など「野……」という言葉にあまり好ましい表現、意味内容が無いように思える。 「秩序」や「しきたり」が必要かつ重要な時代には、それらを無視することは異端であり不埒であり反社会的であった。しかし、活力や創造力が失われつつある現在、これまで「壁」や「溝」や「垣根」が障害となって交流の無かった分野、世界との交流の進展が大いに期待されている。現に、停滞している産業界を指導する立場にある通商産業省や中小企業庁の政策に「異業種交流」にはじまって「創業支援」や「創造的産業育成」などというネーミングが多く見受けられるのもこうした気運を反映しているのだろう。 ところで、7年前に広島でスタートした「中国地域づくり交流会」という団体がある。この団体は、“産・官・学・野の分野を越えた横断的な組織”であり、自分たちの身近な地域を考え、さらに、市町村の行政界の垣根を越えて交流の輪の中で、広く中国地域のまちづくりを考えていこうという組織である。今では、中国地域の5県ごとにそれぞれ支部機能を持ち、本県でも「山口地域づくり交流会」が小郡町で継続的に活発な活動を展開している。この団体が目指しているのが「官に仕えていない人、民間人、素朴で誠実な人、がさつな人、やぼな人(講談社辞典からの引用)」すなわちこれまでの産、官、学の分野に属していない、否、はみ出ている「野人」を地域づくりの輪の中に巻き込むことなのである。これに似た組織が他の地域でも数多く見受けられる。これとは少し観点が異なるものの、大阪や北九州ばかりでなく、県内の下関市にも財団法人「下関21世紀協会」という活性化団体が設立されて既に10年が経過している。古くは「海峡花火大会」を実施し、現在は「海峡ロープウェイ構想」や「下関沖合人工島構想」を推進している元気な若手を中心とした活性化団体である。 いま、宇部は様々な課題が噴出しているが、このままでは工業都市として、あるいは商業の中心都市としてのこれまでの地位を失わざるを得ない時期が早晩到来すると思われる。このような危機的な状態を打開するにはこれまで考えられなかったような力の結集が早急に求められているのではないか。男性と女性、労働者と使用者、業界と業界、官と民、地区と地区など、端的にいえば、「野合」とでも言われかねない各種団体や組織の連携や合併が必要なのである。 業種の枠を越え、分野の壁を越えて各々の持つ経験やノウハウを出し合い、官民の隔て無く市民が力を合わせ宇部の地域づくりに知恵と力を出し合おうという、この「野放図」な行動が必要な状態なのだから、宇部にあっても狭い分野や領域にとらわれない組織が設置されても何の不思議はなかろう、と思う。 1995/08/17 |
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