1. 三つのルール 2. 野外彫刻、三つの活用法 3. 三つの「ウェア」 4. 文化を育む三つの「C」 5. 三つの期待 6. 三つの懸念 7. 三人の地域リーダー 8. 優れた企業、三つの条件 10. 三種の神器と三上の訓 11. 三人のトラバーユ 12. 深夜の国際電話 13. 選択的市民のすすめ 14. 明快少年出現! 15. ふるさと人材育成事業報告 16. 魅力あるまちづくりとは? 17. アメリカの常識、日本の非常識 18. 女性のバス運転手 19. たかがチップ されどチップ 20. ボーダレス時代の新市長に望むこと |
「友人について」その7長年の友人が自分の職場の上司になるという場合は、コトはなかなか複雑になる。それまで職場は一緒になったことはないが、妙に馬があって一緒に遊ぶ仲間だった人が、人事異動で自分の上司になったことがあった。「いやあ、人事の妙ですね。宜しくお願いしますよ。」なんて言ったものの、いざ仕事となれば良いコトばかりではない。友人であることが却って困ることも多々あるものだ。勤務時間中に公私を混同してしまうことがあるのにはお互いに苦笑したものだ。 通常の場合、余程のことが無ければ上司の言い分に逆らうことなどありえない。ところが、この場合にはもともと親しい関係にあるものだから、何か意見が合わない場合には、ツイ軽い気持ちで「○○さん、それはおかしいんじゃありませんか?納得できませんよ。」などと口走ってしまうのである。そうすると相手も思いがけない部下の反乱に気分を害して「おい、○○さんはないだろう。職場では課長と呼べよ、課長と。」と売り言葉に買い言葉になってしまう。こんな会話がしょっちゅうだったが、元々二人は気が合っているから別に喧嘩にはならず、冗談で終わるのだが、周りから見れば、ハラハラするような会話であるらしい。同じチームの中でこんなやり取りが日常茶飯事だから、周囲では「どうもあそこの課長と部下は折り合いが悪いらしいよ。いつも口喧嘩をしているものね。」という評判になってしまう。 しかし、当の本人たちは、そんな風評を酒の魚にしながら酒を飲んでいるのだからハタ迷惑な話しだ。そんな関係を、ある意味では、二人で楽しんでもいた。 こんな例は多くはなかろうが、垣根のない関係が生きる場合にはメリットとして出てくる。もともと忌憚なく意見を言い合える間柄であるから、お互いの立場を越えた率直な意見交換、議論が好結果をもたらしたことは数多い。上下の隔てない素晴しいブレーンストーミングが出来たからであろう。 一方、ディメリットとしては、公私の使い分けが出来ない場合である。上司の指示に従いたくない場合の対応が難しい。相手は、「自分を友達だと思って、職場の上司の指示を拒否するんだな。」と勘繰るし、当方は「何を言ってるんだ。上司だと思って高圧的な態度で屁理屈を押し付けて。」ぐらいにしか思わない。こうなると、お互いの手の内を知っているから通常の関係よりも始末が悪い。簡単なことが長く尾を引いてしまう。しかし、そこは良くできたもので、年長者の方が頃合いを見計らって「河野さん、チョット、これお願いできませんか?」などと言って私の気持ちをほぐしてくれる。わがままな私の気質を知り抜いたにくい術である。 そんな関係も約10年以上続いている。私が彼から学びたいことは色々あるが、最も尊敬している点は積極果敢な行動力と昔気質の人情味の深さである。自分が彼と同様の立場になれるかどうかは別にして、部下を持つ上司の模範タイプとして私淑するに足りる友人でもある。 が、困ったことが起きた。この度の人事異動で、また彼と一緒にやることになってしまったのである。 1995/04/10 |
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