1. 三つのルール 2. 野外彫刻、三つの活用法 3. 三つの「ウェア」 4. 文化を育む三つの「C」 5. 三つの期待 6. 三つの懸念 7. 三人の地域リーダー 8. 優れた企業、三つの条件 10. 三種の神器と三上の訓 11. 三人のトラバーユ 12. 深夜の国際電話 13. 選択的市民のすすめ 14. 明快少年出現! 15. ふるさと人材育成事業報告 16. 魅力あるまちづくりとは? 17. アメリカの常識、日本の非常識 18. 女性のバス運転手 19. たかがチップ されどチップ 20. ボーダレス時代の新市長に望むこと |
「友人について」その6世界中を忙しく飛び回っている一方で、西日本に来た時には、必ず事前に連絡をくれる友人がいる。彼が私に指導や助言をしてくれる訳でもなければ、私が彼に何か良い情報を提供する訳でもない。相互の意見交換がお互いの公私にわたる活動に必要な示唆やヒントがある、という了解が二人の中にあるのだろうと思っている。 彼との付き合いは、約4年になる。私が、特に、女性の経済分野での自立を通じた社会参加のための事業を企画した際、相談のために行った会社で、ヒョッコリ「私の夫です。河野さんと同窓ですよ。」と紹介されたのが始まりであった。いざ、その事業を実施することになり、具体的な手法を打ち合わせする日になったら、私の前に登場したのは件の彼であった。先に私が面会した女性は事務局長で、実際にグランドデザインを描き物事を決定しているのは彼だったのだ。 その後の打ち合わせが面白かった。事業を委託する側と受託する側の手法、経費、考え方はなかなか一致しないのが常である。「この程度はやりたい、やって欲しい。」という当方の言い分と「それほどにやるには予算が足りない。」という受託サイドのズレが生じるのは毎度のこと。 しかし、驚いたことに、あの時は私と彼の事業実施の狙いがほとんど一致したのである。それどころか、別の提案も付加されとても協力的な姿勢であったのだ。驚いた私は彼のそのような積極的な考え方が何に根差しているのか知りたくて、事業には直接には関係の無いことまで聞いてしまった。その結果、いろいろな面白いことがわかった。彼が15年間勤めた大手の信託銀行を辞めて海外放浪の後、開発途上国の地場製品を輸入販売することを通じて、その国の生活や福祉水準の向上に貢献することを始めたとのこと。これを皮切りに、国内の信用金庫と提携した起業支援やさまざまな機会を通じて知り合った中小企業の経営者に働きかけて、ロシアの湖の水質保全のための調査機械を贈るなどの環境保護問題へも具体的に取り組んでいる。 彼のモットーは、社会的に意義のあると思える「メッセージ性のある事業」を自ら実行することであるらしい。 そんな彼から私が学んだことを簡単に表現すれば、「マルチウェア」というキーワード(言葉)であろう。他に本業を持っている人々がある共通の想いの実現のために集まる。しかし、誰一人としてこのプロジェクトに専念できる者はいない。 しかし、何人かのメンバーが自分の持っている専門的な知識、技術、資金力、情報収集力を持ちよればコトは成就する。想いを持った人材とそれをコーディネートする人材が寄れば、困難なプロジェクトも楽しく、よりユニークに実現できるというのが彼の信条である。小さいながらまちづくりグループを主宰していた自分の手法とよく似ていたことに驚くとともに、お互い意気投合した次第である。 ただ、私がどうしても吸収できない彼の優れた能力がある。それは人を楽しく説得できる力である。仕事柄私にも必要な能力なのだが、付き合い始めて四年もたったがこの力だけは私には獲得できない。努力をしなければならないと思っている。 1995/04/03 |
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