1. 三つのルール 2. 野外彫刻、三つの活用法 3. 三つの「ウェア」 4. 文化を育む三つの「C」 5. 三つの期待 6. 三つの懸念 7. 三人の地域リーダー 8. 優れた企業、三つの条件 10. 三種の神器と三上の訓 11. 三人のトラバーユ 12. 深夜の国際電話 13. 選択的市民のすすめ 14. 明快少年出現! 15. ふるさと人材育成事業報告 16. 魅力あるまちづくりとは? 17. アメリカの常識、日本の非常識 18. 女性のバス運転手 19. たかがチップ されどチップ 20. ボーダレス時代の新市長に望むこと |
大学について「ジンザイ」には、人財、人材、人在、人災、人罪と5種類の漢字表現があると友人から聞いたことがある。魅力あるまちづくりとは、究極的には多様で魅力ある人財がいかに多く集まっているか、にかかっていると思う。つまり、地域の財産となるような人材がいかに多く住んでいるか、いかに活用されているかがまちの魅力や活力につながるのである。だから、人財集めをして、人財の集積をはかることが魅力あるまちづくりにつながる。このような意味で、大学等(正確には、短期大学、高等専門学校、専門学校等を含めた「高等教育機関」と表現すべきであるが)の存在について、大きな期待と評価を寄せているのは私ばかりではなかろう。宇部小野田地域に設置されている高等教育機関は、山口大学工学部、同医学部、宇部短期大学、東京理科大学山口短期大学、医療短期大学、国立宇部工業高等専門学校などが存在し、県下三番目の規模を誇っている。かって企業誘致が地域活性化の花形、コアとして考えられたが、最近では「大学等」も一大産業として注目されている由縁である。 ところで、最近、「宇部市の財政難から宇部大学設置構想への支援は困難」と大学側に市の意向が伝えられたとの記事を散見した。確かに、大学設置は地方自治体にとってさまざまな形の重荷があると推察できる。しかし、地方における若年層の減少傾向の中、「宇部大学設置構想」に対する地元の期待の大きさや、少子時代の大学サイドの意気込みを考えれば、この問題を軽んじる訳にはいくまい。 一般的に大学設置の基本的な要件は、①大学設置の目的と理念、②土地、建物から設備機器等の準備や図書整備に必要な資金対策、③大学設置基準に沿った形での教官の確保対策、④開学後の運営費などである。このうち、最も重要な要素の「設置理念」については、既に大学側から生活福祉関連及び生活環境関連学科の整備方針が明確にされている。本県に数少ない学科を有する大学として宇部地域ばかりでなく全県的な波及効果が期待でき、地域の課題解決のシンクタンクとして、その取り組みを大いに歓迎すべきと考える。仮に、報道されたように設置構想が市の財政問題という「暗礁」に乗り上げているとすれば、真に残念なことと言わねばならない。 地域で定住・交流する多様で豊かな人財が地域の活性化と将来の発展にとって多大の貢献をしていることは誰もが認めるところであろう。特に、県下有数の高等教育機関が数多く設置されている宇部小野田地域で、大学等が産業から文化・スポーツ、教育、医療、福祉の分野にわたる知的教育拠点であり、将来にわたるまちづくりを支援する人材集積拠点でもあるという観点から、当面の財政問題を超越する重要な問題として、是非とも再考いただきたいと思う。 地域社会のなかで重要な役割を演じてきた大学等が、学生募集の困難等から生じる経営問題が原因で、より条件の良い大都市周辺へ移転しようとする動きもある昨今である。私達のまち宇部の将来にとって、大変重要な役割を果たすであろう「大学」の設置構想が当面の財政問題で頓挫せず、当初の計画通り平成9年4月に無事開学することを祈りたい。 1995/01/19 |
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