1. 三つのルール 2. 野外彫刻、三つの活用法 3. 三つの「ウェア」 4. 文化を育む三つの「C」 5. 三つの期待 6. 三つの懸念 7. 三人の地域リーダー 8. 優れた企業、三つの条件 10. 三種の神器と三上の訓 11. 三人のトラバーユ 12. 深夜の国際電話 13. 選択的市民のすすめ 14. 明快少年出現! 15. ふるさと人材育成事業報告 16. 魅力あるまちづくりとは? 17. アメリカの常識、日本の非常識 18. 女性のバス運転手 19. たかがチップ されどチップ 20. ボーダレス時代の新市長に望むこと |
地域一体化へ宇部に新たな「芸術ホール」が完成しました。地域文化活動の拠点として、今後の役割に大きな期待が寄せられています。このホールの運営は、宇部親子劇場協議会、劇団宇部芸術座、宇部市民劇団若者座など市内の演技、鑑賞の双方の団体が中心となって行います。企画から運営まで市民が中心となっている施設は全国的にも珍しいと言われています。また、このホールの管理は宇部市だけではなく、お隣の小野田市や美祢市、阿知須町から楠町、山陽町までの三市三町が参加した宇部小野田広域圏の共同事業として行なわれ、圏内の住民は施設の使用料金や鑑賞のための入場料金は同額になります。つまり、このホールは広域圏の共同施設として建設され、圏域内の住民には均等にサービスを提供し、同一料金での使用を可能とした次第です。と、ここで「私の初夢」は中断しました。 先日、あるセミナーで参加者からこんな質問が出されました。「各市町村ごとに文化ホールや大規模施設建設の要望がある。どう思うか。」 私は「隣接する自治体が共同事業として作ったらどうか。そして、その自治体の住民は同一の条件でその施設を利用できるようにするのです。」と答えました。 理解していただくために、少し詳しく説明しましょう。例えば、ここに三市三町の資金が合計で60億円あるとします。各自治体には10億円づつ資金の準備が可能ですが、1団体の持つ10億円では、今ほど生活水準の高くなっている地域住民の要望に応え得る充分な施設は建設できません。仮に、大枚を叩いて建設した結果、財政上のしわ寄せは必ず後年度に到来しますし、大規模施設を作ったためにその自治体では当分の間、他の施設を建設することが財政的に不可能になってしまうのです。 地域住民のニーズは多様化しています。地域住民の福祉の向上のために、一自治体がこれらの広く浅い、あるいは狭く少ない全てのニーズに的確に対応できる施設を建設することは不可能に近いのです。 モノやカネ不足の時代には、上の子が使った自転車や楽器を下の子が再使用することが当然でした。一時的にしか使用しないモノは、兄弟が交替で使用するのはごく当り前の話しでした。利用頻度の高い自転車や楽器であれば、一人の子だけに買い与えることも必要です。しかし、頻度が低く、使用目的が限定されるモノは、兄弟が一緒に、交替で使用することが有効ではありませんか。この話しは、今、地域でも当てはまるはずです。一自治体の力を超えるような大規模施設を単独で建設することは「住民福祉の向上に努める」ことに反するから、圏域の共同で行うべき。これが私の答えの主旨です。 隣接自治体の間で、冒頭に書いた「初夢」のようなハードとソフトの共同化の過程が様々な分野で進んでこそ、その地域の一体化が進展して行くのだと思えます。 この間、ステップが十分に踏まれれば、地域住民のコンセンサスが形成されると共に、共同体(コミュニティー)意識が醸成され、その延長線上にはじめて「合併」という文字も浮かんで来るのではないでしょうか。 1994/12/28 |
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