1. 三つのルール 2. 野外彫刻、三つの活用法 3. 三つの「ウェア」 4. 文化を育む三つの「C」 5. 三つの期待 6. 三つの懸念 7. 三人の地域リーダー 8. 優れた企業、三つの条件 10. 三種の神器と三上の訓 11. 三人のトラバーユ 12. 深夜の国際電話 13. 選択的市民のすすめ 14. 明快少年出現! 15. ふるさと人材育成事業報告 16. 魅力あるまちづくりとは? 17. アメリカの常識、日本の非常識 18. 女性のバス運転手 19. たかがチップ されどチップ 20. ボーダレス時代の新市長に望むこと |
まちづくりは市民参加型でよく「役所は、住民のことをよく考えてやってくれなければネ」と言われます。この言葉は、往々にして肝心要の関係市民の要望に耳を貸す時間が少なかったことが原因で、事業を開始した後で市民からの不満や批判が出た場合に聞かれます。いつも「まちづくりは官民の連係が必要」と言われますが、計画決定の前から市民の声が反映できることは困難なのでしょうか。ところで私は、最近、行政と市民の連係がマンザラ難しくもなく結構期待できるナ、と思える二つの事例に接しましたのでご紹介します。 最初は、出張の際に東京都内版の新聞で見かけたケースです。都内のある区役所が並木道の整備条例を制定する記事で、「区民の地道な努力が条例制定を実現。並木路の整備手法に住民の声が反映。これは区民の勉強会からスタートした取組みが、最終的には行政を動かしたものであり、地域の住民活動としては模範的なものである。」とありました。素晴らしい生活者参加型事業だと思います。住民がまず自らの住んでいるまちづくりについて積極的に考え、地域のコンセンサスとして行政に提案、要望をしていくことは時間や労力が必要なもので、それを実現することは実際にはなかなか難しいものと思われます。だからこそ、このような例が記事になるのでしょう。政治家や圧力団体の要望であればまだしも、地域住民の活動が行政の政策や事業に取り入れることはまだまだ少ないという典型例なのでしょう。 二番目は、「沢波川をふるさとの川に育てる会」のケースです。この「育てる会」は西岐波地区で先月スタートしたばかりですが、その特徴として、第一点は、地区内の市民と商工業企業の関係者が参加されていることに加えて、(アドバイザー的ではあるにしても)行政からも担当者が会議に参加されていたことです。第二点は、その会則に盛られている「会員の行う事業」の中で、地元市民・企業が「やって貰いたいと要望する事業」と「自らがボランティアとして行う事業」とが区別されていることです。とかく私達市民は、自ら汗をかくことを忘れがちで、行政への安易な甘えを捨て切れません。また一方では、行政側にも頑なに前例を踏襲したり、強い横並び意識が捨て切れないという傾向があります。この「育てる会」の活動には「市民が自ら提案し、自ら実行する」という役割を担う精神がシッカリと入っています。第三点は、地元の幅広い人材が参加されていることです。建築家、デザイナー、行政マン、経営コンサルタント等々、まちづくりに関心の高い多様な人材の結集に期待が持てます。最後には、出席されていた行政の担当者が世の中の変化に敏感で、よく勉強されていることが伺えたことです。従来の行政のスタンスからすれば高く評価されるべき点です。地域住民と共により良いものを創っていこうという彼等の姿勢に好感を抱きました。 これら二つの事例は、そこに住む人、育む人、利用する人、専門家などバラエティーに富んだ「生活者の参加によるまちづくり」の模範として、注目すべきと思います。 1994/12/19 |
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