1. 三つのルール 2. 野外彫刻、三つの活用法 3. 三つの「ウェア」 4. 文化を育む三つの「C」 5. 三つの期待 6. 三つの懸念 7. 三人の地域リーダー 8. 優れた企業、三つの条件 10. 三種の神器と三上の訓 11. 三人のトラバーユ 12. 深夜の国際電話 13. 選択的市民のすすめ 14. 明快少年出現! 15. ふるさと人材育成事業報告 16. 魅力あるまちづくりとは? 17. アメリカの常識、日本の非常識 18. 女性のバス運転手 19. たかがチップ されどチップ 20. ボーダレス時代の新市長に望むこと |
2億円の風車は高い?新南陽市では、2億円で「風車」を建設するという話を聞きました。何故、新南陽市で「風車」なのかといえば、姉妹都市交流の相手先がオランダのある都市だからという理由からです。設置場所は「永源山公園」で、中の歯車を作るために本場オランダの大工さんに来ていただいて、現在建設中との報道も耳にしました。す。 私は、「新南陽市民は、この風車の建設をどのように評価をしているのやら」と考えました。この二、三年、景気が低迷している折、財政基盤のかなりを地元企業に支えられている新南陽市にあって、市民、企業や議会の評判が気になったからです。どのような議論があって実現したのか、大変興味があるところです。さて、新南陽市民にとって「風車の建設代金2億円」は高いのでしょうか、それとも安いのでしょうか? 新南陽市は人口が約3万人で、市の財政規模が歳出額で約120億円です。この2億円という金額は、新南陽市では、市民一人当りの負担額は、約7千円となりますし、市の財政の中では約1.7%を占めることとなります。「今時の公共事業の規模からして安い。国際交流の記念として立派なものだ。」という人もあれば、「何の役にも立たないものを山の上に作っても意味が無い、高い。そんな金があれば、税金を返してくれ。」という人もあるでしょう。 私の意見は「建設費の多寡ではなくて、その風車の活用方法次第で高いか安いかが決まる」です。2億円が高いかどうかではなく、この風車をいかに活用するかにかかっているのです。つまり、「風車」というハードの整備によって、人材育成や教育文化の振興また国際交流の促進などのソフト面をどれだけ充実させることができるのか、これが大変に重要なことだと思えるのです。 例えば、「風車」に関して、こんなことが私の頭の中には浮かびます。オランダの大工さんが来日されていますが、彼等は滞在期間中、どこに泊まっているのでしょうか、ただ、旅館かホテルに宿泊するのでしょうか?それとも、どこかホームステイの受け入れをする家庭があるでしょうか?休みの日などはどのようにして過ごすのでしょうか?市内の建築家との交流はあるのでしょうか?子供たちをはじめ、市民との交流は計画されているのでしょうか?国際交流とは、シンポジウムやパーティーが無くてはできないものではなく、草の根レベルの日常的で自然なふれあいの中から生まれてくるものではありませんか?多分、各種の交流を通じて、この次には新南陽市民がオランダに行くことが計画されているのでしょう。これらのことが風車の建設計画の中に既に折り込まれていたとしたら、新南陽市民にとって、大きな波及効果を生む事業である「2億円の風車」の建設は安いものでったと言えるのではないでしょうか? さて、この「2億円」を宇部市の場合に比較してみましょう。宇部市は人口が約17万で、市の財政規模が歳出額で約500億円ですから、宇部市では、この2億円という金額は市民一人当りの負担額は、約1千2百円となりますし、市の財政規模の中では約0.4%を占めます。 ところで、翻って、宇部市では2年に1回「現代日本彫刻展」が開催される際、展覧会開催経費として約5千万円が予算計上、支出されています。では、この約5千万円という金額は、私たち宇部市民にとって高いのでしょうか、安いのでしょうか? 私は、野外彫刻の価値やその波及効果を考えれば、もっと開催費用を増額して充実した催し物として積極的な取組みを展開をすることが市や市民にとっても大変に重要であると思っている一人です。その点では、来年度から採用が決定している学芸員制度には大変に期待しています。 ところで、「カッタ君の映画制作のための1億円募金」は私たち市民にとって、高いのでしょうか、安いのでしょうか? 1994/11/27 |
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