1. 三つのルール 2. 野外彫刻、三つの活用法 3. 三つの「ウェア」 4. 文化を育む三つの「C」 5. 三つの期待 6. 三つの懸念 7. 三人の地域リーダー 8. 優れた企業、三つの条件 10. 三種の神器と三上の訓 11. 三人のトラバーユ 12. 深夜の国際電話 13. 選択的市民のすすめ 14. 明快少年出現! 15. ふるさと人材育成事業報告 16. 魅力あるまちづくりとは? 17. アメリカの常識、日本の非常識 18. 女性のバス運転手 19. たかがチップ されどチップ 20. ボーダレス時代の新市長に望むこと |
自前の尺度(スケール)で最近、上京の機会が増えました。何年振りかに、朝早く明治神宮内苑に入ってみました。約束の訪問時間に1時間早かったものですから、最寄りの地下鉄駅から急に訪れてみる気になったのです。学生時代、時間があるとぶらりと行き、時間を過ごしていたこの庭は、とても静かで落ち着いた雰囲気の気の休まる場所でした。参道、御苑、菖蒲田、時間が無くて今回は行けませんでしたが、内園に続く池と宝物殿などがあり、苑内には全国から献木された365種・約10万本の樹木があり、約50種の野鳥がいるといわれています。その規模は東京ドームの54倍といいますから、これだけでも都内23区で最大のオアシスとなっています。早朝ですから観光客も少なく、爽やかな空気の中でゆっくりと散策することができました。家族連れやお年寄りのカップルなど、昔と同じような人達がゆっくりと早朝の贅沢な散策を楽しんでいるのを眺めていると、20年という永い時間のたったことが嘘のように思えます。南池に入っていくと、ちょうど菊花展が開催中で、これも昔と変わっていません。違うのは、アジア諸国からの観光客が多くみられたことでした。目まぐるしく変わっていく東京ですが、古き良き時代の名残りも地味ですが、キチンと保存されています。その日の夕方、恵比寿駅近くで仕事が終わったので、噂の「恵比寿ガーデンプレイス」に行きました。マスコミと口込みのせいでしょう、オープンして未だ2か月たっていないものですから、建物の周囲、そしてデパートやレストランなどに入っている人の多さには唯々呆れるばかりです。周辺の道路には、タクシーが全く身動きできないほどに渋滞していました。この2か月間はずっとこの状態が続いているらしくて、近所の皆さんは閉口している様子でした。こんな「賑わい」を私達地方の人間は求めているのでしょうか、考えものです。 「都市の空気は人間を自由にする」という言葉がありました。特に若い人達にとっては、東京の魅力はこれに似ているのかも知れません。加えて、テレビや雑誌で新しい名所が次々と出来上がるのを見ていると、身の回りのまちの環境が見劣って見えるのは止むを得ないことでしょう。地方にはこれほどの資源は揃っていませんから。しかし、これらのモノづくりを追及し続けることがいかに空しかったか、私達は最近の多くの事例で学びました。「モーレツ人間」「エコノミック・アニマル」と言われた時代は過ぎ去りました。人それぞれが価値観を持って生きていく「選択の時代」が来ています。学ぶ、働く、遊ぶ、憩うなど、人それぞれの年令やライフスタイルに合った生き方があるはずです。学ぶために故里を離れ、国外に飛躍するのも結構ではありませんか。ある時期が来ればまた帰って来たい、そんなまち(故里)を創っていくのがこれからの地方の時代に生きる私達の役目ではないでしょうか。 私達にとって必要なことは、「自前の尺度(スケール)」で選択することだと思えます。お仕着せではなく、自らのグランド・デザインによる「まちづくり」を進める必要がありそうです。 1994/11/20 |
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