1. 三つのルール 2. 野外彫刻、三つの活用法 3. 三つの「ウェア」 4. 文化を育む三つの「C」 5. 三つの期待 6. 三つの懸念 7. 三人の地域リーダー 8. 優れた企業、三つの条件 10. 三種の神器と三上の訓 11. 三人のトラバーユ 12. 深夜の国際電話 13. 選択的市民のすすめ 14. 明快少年出現! 15. ふるさと人材育成事業報告 16. 魅力あるまちづくりとは? 17. アメリカの常識、日本の非常識 18. 女性のバス運転手 19. たかがチップ されどチップ 20. ボーダレス時代の新市長に望むこと |
「商店街について」その3前回の宿題である、「快適さ(Comfortable)」について述べます。郵政省が数年前にスタートした「ボランティア郵便貯金」が多額になったという話、あるいは、キャッシュカードの手数料の一部を自然保護団体に寄付するという名目で募集した銀行系のカード利用者の登録が非常に多いという話があります。これらのサービスは利用者にとって具体的な経済的メリットはありません。が、メリットはなくても、ボランティア活動を支援する気持ち、自然保護活動に共感を抱く気持ちがこのような行動をとらせるのでしょう。つまり、これらの利用者は、事業の主旨や彼らに届くメッセージに共感、共鳴していると思われるのです。さらに、第三世界の社会経済の向上を支えるための活動をするというメッセージを発している全国の「第三世界ショップ」が業績をあげていることも知られています。「第三世界ショップ」で販売されている商品(例えば、コーヒー)の値段は通常の輸入品の価格を上回っています。しかし、よく売れているのです。「第三世界ショップ」の経営方針、訴えているメッセージに共感する消費者が多数存在していることがわかります。 このように、メッセージを持った事業や活動に私達市民が大きな関心と具体的な支援を示している例は数多くあります。今の消費者は○○円安い、とか○○のプレゼントが特典にある、という情報だけで消費行動に走るのではないことが示されています。 これらは、消費性向の変化に敏感に対応した新しい販売戦略ともいえるでしょうが、追随しているとも言えるかも知れません。が、一方では商業関係者が意識の先取りをしている例もあります。山口市では、商工会議所を中心として「山口メセナ倶楽部」が発足しています。この度発表された助成対象の事業には、「文化芸術活動」から「まちづくり運動」までと幅広い事業が対象にされています。この提案が行政からではなく商工関係団体からスタートしていることが素晴らしいことだと思えます。しかし、「この不景気な世の中に、酔狂な」と笑われる方もいらっしゃるでしょう。でも私は、このような試みが商店街に人を集める有効な手法の一つであると期待しています。理由は、前述のとおりです。公益的な団体がこのような地域社会に貢献する具体的な活動を行なうことを期待している人々が多いからです。山口の消費者は商工会議所の活動を支援し、街に賑わいが出てくるはずです。 このような事例は、従来からの「薄利多売一辺倒の時代」が終わりつつあることを示しています。「安さ(CheapP)」以外の基準を消費者が持ってきたのです。こだわりのある消費者は、商店街や個店の特徴や個性、メッセージ、社会への貢献度をシッカリと見て、自分達の好みや生き方に合うという「快適さ(Comfortable)」を求めているのです。「大衆」ではなく「分衆」と言われ、消費性向も多様化している多くの消費者は、自分達の生活に「快適さ」を提供してくれる、自分達のそれぞれの好みに近い店に通うのです。 1994/09/18 |
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