1. 三つのルール 2. 野外彫刻、三つの活用法 3. 三つの「ウェア」 4. 文化を育む三つの「C」 5. 三つの期待 6. 三つの懸念 7. 三人の地域リーダー 8. 優れた企業、三つの条件 10. 三種の神器と三上の訓 11. 三人のトラバーユ 12. 深夜の国際電話 13. 選択的市民のすすめ 14. 明快少年出現! 15. ふるさと人材育成事業報告 16. 魅力あるまちづくりとは? 17. アメリカの常識、日本の非常識 18. 女性のバス運転手 19. たかがチップ されどチップ 20. ボーダレス時代の新市長に望むこと |
「彫刻について」その8「野外彫刻」に関する各種の出版物の中で、宇部市について言及されていないものはありません。それほど、宇部市の野外彫刻は「全国ブランド」、いや「世界ブランド」と誇れるものです。数年前の「ふるさと創生時代」以降、各地の自治体が地域独自の資源の発掘に知恵を絞っている中で、私達宇部市民はこれからの「ゆとりと豊かさの時代」に最も相応しい大変に貴重な資源を居ながらにして所有しているのです。今、私の手元には平成元年3月に公表された「第二次宇部市総合計画基本構想」があります。この基本構想には「21世紀を展望した魅力ある都市づくりの指針として、本市の将来像と、これを実現するための基本理念、施策の大綱を示したもの。(総合計画の構成より抜粋)」と位置づけられています。 さて、この基本構想に「物の豊かさから心の豊かさへ、さらには、ゆとりと充実の生活を求めて、芸術文化への関心は高まり、その活動は活発となっている。、、、また、市民に優れた芸術文化に触れる機会を拡充するため、彫刻展や絵画展等を開催する。」という表現があります(各論編の第8章「基本的施策の大綱」第8節の4「芸術文化」の欄)。また、「緑と花と彫刻のまちのキャッチフレーズに相応しい公園整備が求められている。」とあります(第9章「活性化への道(いわゆるアクティブ10構想を述べた欄)」の「常盤公園整備計画」の中)。しかし、残念なことに私はこれ以外には「彫刻」に関する具体的な表現を探すことができません。だとすれば「緑と花と彫刻のまち」を標榜するまちとしては、大変に寂しい想いがします。本市の将来像とこれを実現するための基本理念、施策の大綱を示したもの、とされている基本構想の中での彫刻に関する評価、位置づけがこの程度なのでしょうか? 繰り返しになりますが、既に設置された野外彫刻の維持管理やこれからも着実に増えると想像される野外彫刻の活用をどのようにしていくのか、さらにこれらの貴重な資源を市民生活にどのように役立てていけるのか、という中長期的な計画なり展望が私達には必要なのではありませんか? そこで私は、「緑と花と彫刻のまち」宇部市には、野外彫刻を活用したまちづくりに関するビジョンがあっても不思議ではないのに、と考えるのです。 その内容としては、市内に野外彫刻が設置され始めた経緯。野外彫刻の設置に努力された先人達、作家や審査委員からのコメント。彫刻設置一覧(設置年、作者、設置場所、受賞歴、素材の説明付き)。できれば、他地域の野外彫刻の設置事例も欲しいですね。また、この際、彫刻に関する市民の意識についても触れておくことが必要です。この点は、現在分析中の市民意識調査の結果が待たれます。そして、課題としては、酸性雨等による腐食や損傷していく野外彫刻の維持管理。景観整備やまちづくりの観点から問題となる設置場所。そして『現代日本彫刻展』の実施方法も改めて考え直す必要がありそうです。人材育成効果やまちづくりへの狙いが述べてあれば申し分無いでしょう。 これらの検討の中から、宇部市における彫刻に関する中長期的な方向づけ、即ちビジョンが出て、市民のコンセンサスが形成されていくと思えます。 1994/09/03 |
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