1. 三つのルール 2. 野外彫刻、三つの活用法 3. 三つの「ウェア」 4. 文化を育む三つの「C」 5. 三つの期待 6. 三つの懸念 7. 三人の地域リーダー 8. 優れた企業、三つの条件 10. 三種の神器と三上の訓 11. 三人のトラバーユ 12. 深夜の国際電話 13. 選択的市民のすすめ 14. 明快少年出現! 15. ふるさと人材育成事業報告 16. 魅力あるまちづくりとは? 17. アメリカの常識、日本の非常識 18. 女性のバス運転手 19. たかがチップ されどチップ 20. ボーダレス時代の新市長に望むこと |
「冒険や挑戦を応援するまち」数日前、アメリカ留学に関する興味ある記事を見ました。ある新聞のスポーツ欄に、現在の我が国の競泳界のホープである千葉すずさんと元オリンピック水泳選手の長崎宏子さんが並んで掲載されていた記事です。千葉さんは環境の異なるアメリカ留学を敢えて試みたことが今回の競技の好結果につながったという記事でした。彼女の性格などを総合的に分析して支援した周囲の方々の判断も的確だったのだろうと推察されます。今後大きく成長してくれることを祈ります。 一方、長崎さんは将来を嘱望された水泳選手で、強化のためにアメリカ留学を断行したのですが、途中で水泳競技を断念し帰国後、JOC事務局に勤務していましたが「職場に疲れた」と言う理由で近く退職するとの記事でした。 我が国水泳界のトップを極めた二人の対照的な現在の状況に関する記事。昨年に続いてほぼ同じ西海岸に短期旅行してアメリカ社会の素晴らしい点を垣間見た私には、二人に関する報道がとても興味深く感じられました。 どの分野でも特殊な能力を持っている若い人の育成策の一環として、「本場」への研修留学があります。この二人の場合は留学生活がそれぞれの人生の転換期になるような影響を与えていると私には思えます。特に、長崎さんの場合にはアメリカ社会の大きさが彼女の人生観に大きな影響を及ぼしたのではないでしょうか?水泳選手としての英才教育の中で脇目も振らずに努力していた一人の女の子が突如環境の違うアメリカに住んで、今まで接したことのない開放的で楽天的でとても親切な人達の中で彼女の人生観が変わるような、水泳だけではない広い世界を知ったのだと思えます。帰国後、スポーツ選手経験と語学力を活かせる職場として選んだのがJOC事務局だったのでしょうが、いまだ旧習に捕われている閉鎖的な日本人社会を目の当たりにした時、その職場に嫌気がさしても不思議はありません。長崎さんが今後、水を得た魚のように蘇生してくれることを期待しています。 多くの若者が東京や大阪、福岡、広島に出ていきます。そして私達大人は、何とかして彼らを留めようと手を尽くします。しかし、いくら社会基盤や魅力的な施設が整備されようとも、彼らをこのまま故里に留め置くのは難しいと思えます。「都市の空気は人を自由にする」と西洋史で習った覚えがあります。若い彼らが求めるのは都市の自由な空気なのではないでしょうか?そして、これからは同様の理由で国内ばかりでなく海外に出て行く若い人が増えることでしょう。彼らは冒険や挑戦を応援してくれて、変化に挑戦し続けるまちや都市を求めて行くのだと思います。 今の宇部を預かっている私達大人は大いに反省し、少しでもより良く変化する宇部をつくる努力をしなければなりません。 1994/06/12 |
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