1. 三つのルール 2. 野外彫刻、三つの活用法 3. 三つの「ウェア」 4. 文化を育む三つの「C」 5. 三つの期待 6. 三つの懸念 7. 三人の地域リーダー 8. 優れた企業、三つの条件 10. 三種の神器と三上の訓 11. 三人のトラバーユ 12. 深夜の国際電話 13. 選択的市民のすすめ 14. 明快少年出現! 15. ふるさと人材育成事業報告 16. 魅力あるまちづくりとは? 17. アメリカの常識、日本の非常識 18. 女性のバス運転手 19. たかがチップ されどチップ 20. ボーダレス時代の新市長に望むこと |
サンセットクルージング快晴、「体育の日」の午前10時半。友人に懇願してやっと実現した“瀬戸内海クルージング”に徳山港を出発しました。年間で最も晴天の可能性が高い日を選んだ甲斐があって、気持ちのいい潮風を受けながらのクルージングは快適そのものでした。 私は、『路上観察くらぶ』で遊んでいます。この遊びは街中の面白い造物やミスマッチを見てガハハと笑っているだけですが、案外、そのまちの特徴が偲ばれて、景観の勉強に役立ったり、まちづくりへの視点を提供されることもあります。そんなことから、いつか出来れば、海からまちを眺めてみたいという希望を抱き続けていたのです。 いつもの視点を変えて海上から眺める周南、柳井、岩国地域は日頃、車で通過するだけの私の目には大変に新鮮に映りました。あまり見ることのない“ふるさと”の陸の景観、そして原子力発電所の建設で話題になっている祝島の周囲の海などなど。見たいもの、関心のあるものが数多くありました。全員がカメラを準備していたことなど、このクルージングにみんなの期待が大きいことは乗船する前から推察できました。 出港すると間もなく通過したのが、橋長476mの笠戸大橋、次いで220mの上関大橋、そして1,020mの大島大橋です。いづれの橋も特徴のある型をしています。多くの島が点在する瀬戸内海に架けられたこれら三つの橋を海から眺めるのはとても新鮮な体験でした。 出港して1時間経過すると「これやこの名に負う鳴門の渦潮に玉藻刈るてふ海人乙女ども」と万葉集に詠まれた大畠瀬戸の渦潮が見えて来ました。この雄大な渦潮は古くから『周防鳴門』とも呼ばれ、最大流速10ノットで日本三大潮流の一つとして知られています。好漁場としても名高いこの辺りの海上には、プロ、アマ入り乱れて釣り舟が浮かんでいます。そして、白い鳥達も楽しそうに群れをなして飛遊しています。 ここに架けられた大島大橋は、当時の大島郡民4万3千人の夢と期待を背に1976年7月4日に開通しました。そして、日常生活の便利さはもとより、農漁業の開発振興、広域観光ルートの形成、物流機構の変貌、工業の振興などの多くの経済効果をあげてきました。この橋の果たした役割は図り知れない大きさがあるでしょう。そして私にとっては、真下で見上げるこの橋の大きさが大島に住む人達が長年抱いていた悲願とエネルギーを象徴しているように想えました。 2時間後、秋の観光シーズン真只中で賑わう宮島での昼食をすまして、私達は一路徳山港へと折り返しました。午後6時が予定のサンセットを見るために。 1993/11/19 |
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