1. 三つのルール 2. 野外彫刻、三つの活用法 3. 三つの「ウェア」 4. 文化を育む三つの「C」 5. 三つの期待 6. 三つの懸念 7. 三人の地域リーダー 8. 優れた企業、三つの条件 10. 三種の神器と三上の訓 11. 三人のトラバーユ 12. 深夜の国際電話 13. 選択的市民のすすめ 14. 明快少年出現! 15. ふるさと人材育成事業報告 16. 魅力あるまちづくりとは? 17. アメリカの常識、日本の非常識 18. 女性のバス運転手 19. たかがチップ されどチップ 20. ボーダレス時代の新市長に望むこと |
シンポ雑感その2先の中核都市リレーシンポで「工業団地をつくって雇用の場を確保し、人口を増やすという方法は企業がこけたら皆こける。住んでみたい所なら人は集まり、企業も出てくるというように考えを変えるべきである」という趣旨の発言がありました。この発言が「企業誘致」そのものを否定していると誤解されているようです。地域づくりの視点を生産重視から生活重視へ移すべきとの提言と私は理解していますが、この点について、勝手ながら私見を述べてみたいと思います。 確かに、昭和30年代からの工場の地方分散政策を反映して、山口県でも周南地域を中心としたコンビナートの形成、宇部・小野田、岩国地域への工業集積が進みました。 この結果、企業誘致の「功罪」両面が生じたことは事実だと思います。 まず、「功」の面については、地域の活力は高まったといえます。 固定資産税、法人税、事業税等の増加による地方財政の潤い、新たな工場等の建設による各種需要の誘発、雇用の場の創出、地元市町村人口の増加、多様な企業人材の集合による地域の教育文化の開発などが挙げられます。 他方、「罪」の面については、昭和30年代から40年代後半に代表される公害の発生は地域にとって大きな摩擦や損失を生じさせたものとして記憶に鮮明です。特に、我が宇部地域においては歴史上忘れることのできない出来事でしょう。 以上多くの「功」の面をみれば、企業誘致そのものを一概に否定することは出来ません。問題は「企業誘致がいけない」のではなく、特定の業種工場に偏った誘致の弊害が、いま出ていることではないでしょうか? 「ゆとりと豊かさ」が求められている現代にあって、魅力のある就業の場や地域の景観に関する議論が高まっている中で、ひとり工場だけが3K職場、醜悪な外観を誇っている(?)。このことが問題なのです。つまり、地域(住民)が変わってきたのに企業(工場)は相変らずなのです。これでは地域住民から「こんな企業誘致はイヤ」という意見が出ても不思議ではないでしょう。 また、地域の経済力は確かに上昇してきましたが、企業が地域文化、地域づくりにどれほどの貢献をしてきたか、については異論があるでしょう。今、盛んに言われている「企業の地域社会への貢献」とは、この点を論じているのだと思えます。 今後も「魅力あるまちづくり」には多種多様な産業の立地が求められます。しかし、それは単に「罪」をもたらさないだけでなく、もっと積極的にその企業の持つ企業文化、所有する多様な人材を地域に提供することが求められているのではないでしょうか? さらに言えば、「地域社会と共に歩む企業」「地域と共生できる企業」が求められているのでしょう。 そのためには、それぞれの「まちづくりのグランド・デザイン」に基づいた戦略的な産業の育成、誘致政策が必要なのです。ここでも行政の先見性、指導力が求められています。 1993/09/27 |
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