1. 三つのルール 2. 野外彫刻、三つの活用法 3. 三つの「ウェア」 4. 文化を育む三つの「C」 5. 三つの期待 6. 三つの懸念 7. 三人の地域リーダー 8. 優れた企業、三つの条件 10. 三種の神器と三上の訓 11. 三人のトラバーユ 12. 深夜の国際電話 13. 選択的市民のすすめ 14. 明快少年出現! 15. ふるさと人材育成事業報告 16. 魅力あるまちづくりとは? 17. アメリカの常識、日本の非常識 18. 女性のバス運転手 19. たかがチップ されどチップ 20. ボーダレス時代の新市長に望むこと |
研究者の環境その2前回は、カルフォルニア大学デービス校の前田教授の昼間の研究環境について述べましたが、今回は同校の学生や前田さんの研究を支える住環境について述べます。先ず、学生に関して。 カルフォルニア大学デービス校は全米でも有数の難関校であり、特に農学部、工学部は全米でも第一位の難関であり、他の医学部や獣医学部も入学しにくいとのことでした。 また、大学が警察機能と消防機能を保有しています。同大学も、これらが相俟って、ご他聞に洩れず経営難とのことでした。 州立であることを反映して、学生の半分以上がカルフォルニア州出身者です。面白いのは、他州出身の学生の多くが入学後1年間休学するとの話でした。その理由は授業料にあります。授業料は州の住民が約40万円で、それ以外の州の出身者は約150万円なのですから約100万円の差があるのです。 従って、他州の生徒は一年間休学して州民となって復学し、特権を行使する訳です。中々シッカリしていますね。 学生アパートは月額4〜5万円程度と日本と比較すれば相当に安い感があります。 ちなみに、同校はケネディが好まれる民主党派らしく、知事時代にレベルの低い大学を作ったと言われるレーガンは好かれていないとの話は興味あるものでした。 次に、前田さんの住環境について。 彼の言によれば、市民税は年額約7万円程度。水道料金は全戸一律500円でメーターは設置されておらず、ガス、電気利用料金も低額です。思うに、水道料金が安いのには訳があるようですね。ご存じのとおり、カルフォルニアは砂漠の上に作られているまちが多く、緑化政策が国土保全のためにも重要なのです。 したがって、各家庭で樹木や芝生の保育が十分できるように、全戸の敷地内に配水管が布設してあり、これを活用して十分に散水できるような低水道料金に留めているのでしょう。 このため、市内に10個設置されている地下水を汲み上げた大型タンクから、各家庭は気にすることなく充分な水を使い、夜中を通した散水が可能となる訳です。 次に興味をそそられた点は、自宅購入によるローン返済に対しては合衆国政府からの免税措置があることでした。このため市民は、企業と違って内部留保金を貯め込んで住宅投資する必要はないのです。貯蓄精神は皆無です。そして、ローンが終了すれば他に転居して、また新たな住宅を購入していくのです。見方を変えれば、これは内需(個人住宅建設)を誘発振興する国策なのですが、これがために国の財政赤字を増幅しているのも事実でしょう。 「このまちは、人種差別がなく、安全で住みやすいまちです。日本にいる時よりも生活が楽で、快適になりました」との彼の言葉から、デービスの生活から研究にわたる『全ての快適な環境』が彼にとって何物にも変えがたいものであるとの印象を強く受けました。 1993/08/31 |
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