“地域づくり焚火論”先日、庭で焚火をすることがありました。現在はこのような風景を余り見かけませんが、私達の幼い頃はよくこのような風景を見かけたものです。焚火をしながら、フッと「地域づくり活動は焚火に似てるナ」と感じました。 いくら乾燥していても大きな木にすぐに火はつきません。マッチや種火、藁や新聞紙、そして柴や小枝などが必要です。そんな「焚火の方法」と地域づくりのための市民活動とを比較して考えてみました。題して、『地域づくり焚火たきび論』です。 まず、藁や新聞紙(市民活動のステップA)に火をつけるためにはマッチ(人材、物材)が必要です。この藁や新聞紙は、それらが湿っていないかぎりは簡単につきますし、簡単に類焼もします。今迄、周囲(地域)に火が無かったものだから、周囲から見れば非常に衝撃的であり注目を浴びることとなります。でも、燃焼(活動)する時間や発生するエネルギー(他への影響力)は僅かなものです。また、途中、下手に掻き回したり、突風が吹き込むと消えてしまう恐れがあり、火を消さぬように慎重な扱いが必要な時期です。 次に、この藁や新聞紙が燃え始めたら柴や小枝(市民活動のステップB)を重ねます。この時、藁から柴へ移行するタイミングの見計らいが重要です。また柴の置き方も微妙です。下手に乗せると下の藁が押し潰され火も消えてしまいます。これらの柴や小枝は燃え方は地味ですが、一旦火がつくと熱エネルギーは大きく火持ちもよく、かなりの時間燃え続けます。これらの柴や小枝を事前に集める場合には、斧、鉈、鋸、鎌(説得力)などが必要で、さらに出来れば長さや太さ、乾き具合などを揃える配慮(企画・計画・構築力)があれば上出来です。柴や小枝の燃え方(活動ぶり)が安定していれば余程のことがないかぎり途中で突然火が消えるような心配はありません。俗に言う、火持ちがいいのです。燃え方(組織・運営手法)がしっかりしているので周囲も安心して見ています。そして時々、酸素(行政からの助成、他地域の視察や交流などによる外部からの刺激)を送り込むために団扇で扇いだり、火掻き棒で少し間を空けてやったりします。すると、更に元気良く燃えはじめます。 しかし、この段階に達しても、大きな木(地域をあげての活性化運動)には火がつきません。総合的な火力(魅力、訴求力、浸透力)がまだまだ不足しているのです。大きな木が少しでも湿っているとなおさら困難です。大木に点火するには柴が束になった強力な火力(市民活動のステップC)が必要です。即ち大きな木の湿気を除去できる強力な火力を持つ薪(各団体や組織の具体的な連携)が必要です。薪が燃え始めれば周囲もその燃焼を無視できないし、むしろ周囲(地域)を暖める力を持つその火力(市民活動)を進んで利活用したいと考える始めます。 初めは小さな火種もここまで来れば周囲(地域)を明るくし、熱(活性化のエネルギー)を供給できることとなります。 藁や新聞紙だけでは大きな木は燃え始めません。柴や薪を使った焚火が必要なのです。 1994/04/18 |
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